
DMVの佐々木が、2026年7月11日に関西大学東京センターで開催された第13回コミック工学研究会に参加し、Lightning Talk枠で発表してきました。前回のシンポジウムに引き続きでの参加です。
今回の研究会では、漫画の分析や自動生成をテーマとした研究に加え、VTuberの記号論的分析や人形浄瑠璃に関する発表など、多種多様な発表が揃っていました。
DMVからはLT枠にて、以下の2件の発表を行いました。
1件目は、LLMを用いた漫画理解に関する発表です。DMVではマルチモーダル大規模言語モデル(LLM)を用いて漫画の原稿画像を解析し要約する、漫画理解システム「MangaLens」を開発しています。今回の発表では、こうしたシステムが物語全体を包括する長期文脈を扱えるのかを検証すべく、Manga109-sの作品を用いたVQA(Visual Question Answering)タスクの事例を紹介しました。また、解析時に原稿を「画像」として扱うか、「OCRを通じたテキストデータ」として扱うかといった、モダリティによる理解精度の違いについても言及しました。
2件目は、漫画ページ画像におけるコマ・吹き出しの領域検出と読み順推定に関する発表です。既存研究では独自の深層学習モデルを学習させることが多いのに対し、より実務的なアプローチとして、汎用的なオープンウェイトモデルを用いた手法を提案しました。具体的には、Meta社のSAM3を用いてコマと吹き出しの領域を検出し、その位置関係からヒューリスティクスを用いて読み順を推定しています。
詳しい発表内容は、以下のスライドをご覧ください。
漫画をデータとして扱うコミック工学において、ストーリーやコマ割りなどの視覚構造を自動解析する技術は、研究の基盤となる重要な分野です。今回の会場でも、こうした漫画解析に関する発表や議論が数多く見られました。今回我々が発表した2つのテーマもその一環であり、1件目の「MangaLens」は物語構造の解析、2件目は視覚構造の解析として位置付けられます。
LLMをはじめとする機械学習技術を用いた漫画解析の進化が進む一方、課題も多く残されています。漫画には厳格な表現ルールが存在せず、その「読み」の規則を網羅的に定義することは困難です。さらに、作家によって新たな表現が日々生み出され続けています。こうしたトレンドの変化に追従し、「読み方」そのものを柔軟に更新できる自律的・継続的な解析手法が求められていくのかもしれません。次回の研究会も楽しみです。